シャドゥ と シャドー
2001年の春以降、我が家に犬を迎え入れることを決めた私は、レンタルビデオシッョプへ行き、犬を主人公とした作品を数多く、借りて家内と共に観賞しました。
妻は、「新築 間もない家であること」、そして「長男が未だ幼稚園にも入っていない年齢であること」を理由に、当初は、反対をしていました。
「犬と暮らすこと自体」を反対したのではなく、「せめてあと3年ほど待って、長男が小学校に入学してから・・・」と言うのが家内の言い分だったのですが、犬と暮らしたいと気持ち一心の私は家内の言い分に耳を貸しませんでした。
ですから、犬を主人公とした作品も夫婦で楽しく観たというよりは、私に無理矢理、付き合わされた感じでしょうか・・・(苦笑)
一緒にビデオを見ることによって、あたかも犬と暮らすことを容認する様な形になるのは家内としては不本意だったのかもしれません。
犬と共に暮らすことを躊躇する家内を翻意させるためには 「子供と愛犬が共に暮らすことの素晴らしさ」 をテーマにした作品を見せることが大切。。。と考えた私は お笑い系の作品ではなく、子供と愛犬との絆をテーマとした作品を選んで、渋る家内と共に観賞しました。
そんな 「子供と愛犬の絆」 を描いた作品の一つが、ディズニー映画の 奇跡の旅 でした。
この物語のあらすじは、
母の再婚で、長男ピーター、長女ホープ、次男ジェイミーの兄弟は、新しい父親ボブと新しい家で暮らすことになりる。
三人はボブになかなかなじめない上、ボブの仕事の都合で引っ越す家は動物厳禁。三人は、それぞれかわいがっていた三匹、ゴールデン・レトリーバーのシャドウ、ヒマラヤンのサシー、アメリカン・ブルドッグのチャンスを、しぶしぶ農場に預けることに同意する。ところが、シャドウはいつまで待ってもピーターが姿を見せないのは、きっと危険な目にあっているに違いないと考え、チャンスとサシーを連れて、農場を飛び出してしまう。三匹はケンカしながらも、獲物をとって食料を得たり、巨大な熊から逃れたりしながら、互いに協力して飼い主のもとへと旅を続ける。(以上、ウォルト・ディズニー・スタジオジャパンHPより抜粋)
というものなのですが、子供たちを常に思いやり愛情を注ぐ老いたゴールデンレトリバー、シャドゥの姿に感動し、我が家に迎え入れる犬の名前をシャドーと決めました。
2001年10月7日、我が家に フラットコーテッドレトリバーのシャドー がやってきました。
そして翌10月8日、私は健康診断と混合ワクチン接種のため、シャドーを初めて動物病院へ連れて行きました。
受付の女性から、「お名前は?」と聞かれ、 「シャドーです!」 と答えた時の嬉しさを今でも覚えています。
自分の愛犬、待ちに待った愛犬の名前を人に告げる嬉しさ・・・
ところが、我が家に来たシャドーは、映画のシャドゥとは大違い・・・
そりゃそうですよね! ヤンチャな小僧に、人生の酸いも甘いも経験した老犬と同じ役割を期待しても、無理というものです。
その頃、私は会社員でしたので、朝早く東京まで出勤し、夜遅くまで家には戻ってこない訳です。
その間、家の中は家内と長男とシャドーだけ・・・(次男は、まだ生まれていませんでした)
シャドーは家内を本当の母親の様に慕って、そして甘えていました。
そんなシャドーにとって、長男は最大のライバルに思えていたと思います。
自分はサークルの中に入れられているのに、長男は ママと一緒に、ブロックで遊んだりプラレール(電車の玩具)で遊んだり、ママの膝で本を読んでもらったり・・・
長男との遊びが一段落したり、長男がお昼寝をしていると、サークルから出して遊んでもらえるのですが(引張りっこ などを中心に、家内はシャドーと随分、遊んでくれました) シャドーは長男が妬ましくて仕方がない・・・
家内も犬との生活に不慣れでしたので、長男と遊んでいたブロックや絵本などを出したまま、シャドーをサークルから出してしまったりしたのですが、そうするとシャドーは、ライバルが遊んでいた玩具や絵本を、まるで敵(かたき)の様に破壊するのです。(苦笑)
ある日、事件が起きました。
長男と家内が、プラレールで遊んでいた時、シャドーはサークルを飛び越え、プラレール(1.5m四方位の大きな玩具でした)に乱入し、線路を噛み砕いてしまったのです。
線路が壊れてしまったら、もう電車を動かすことは出来ませんね。
さすがに長男が怒ってシャドーを叩いたのですが、 「待っていました!」 とばかりに シャドーは長男に体当たりし、吹っ飛んだ長男は椅子の角に頭をぶっつけ、出血・・・
頭を怪我すると、驚くほど血が一杯でるんですよね!
まあシャドーにすれば、「ヨシト(長男の名前)が先にボクを叩いたじゃないか!!」 と言い分はあったと思いますが・・・
その晩、帰宅した私は家内に、かなり叱られました。
「だから犬を飼うのは早いって言ったのよ! シャドーなんか馬鹿犬で映画のシャドゥとゼンゼン、違うじゃない!」 と・・・
その点、その翌年に生まれた次男は、あまりシャドーの被害には遭っていないんです。
次男が生まれた時、シャドーはまだ1歳3ヶ月ほどだったのですが、既に往年のヤンチャさは、少し薄れていて、次男を嘗め回したりすることはあっても、吹っ飛ばされたり、玩具を壊されたりした経験はありません。
やはり、良くも悪くも シャドーにとっては長男が永遠のライバル だったのだと思います。
それから数年・・・
公園で、長男が友達とカードゲームをしていて、そのカードを上級生に脅かされて盗られそうになった時、長男と一緒に公園に来ていたシャドーが、その上級生に吠え掛かってカードを盗まれずに済んだこともありました。
次男は、保育園の 「生き物とふれあうイベント」 にシャドーと共に登園し、シャドーの大きさに怖がる他の保育園児を尻目に、得意そうにシャドーを撫で回していたそうです。
2010年12月1日、 シャドーが逝った日・・・
かつて幼き日、シャドーに吹っ飛ばされて頭を縫った長男は、泣きながら自転車で駅前のジャスコへ手向けの花を買いに行き、レジでも泣き顔のままだった様で、レジの女性から 「ちょっと あなた大丈夫?」 と聞かれたそうです。
ジャスコの店内でも、ずっと泣いていたみたいで・・・
そして、長男は今 「自分が大人になったら、シャドーみたいな犬と暮らしたい」 と口にする様になりました。
3年前、私の実母が逝去した時は、幼かったこともあり、「死」というものが、よく理解できなかった次男・・・
一緒に、火葬場で拾骨したにもかかわらず、「おばあちゃんは、今度 いつ家に来るの。。。?」 なんて言っていました。
その次男が、シャドーの死を通し、生きとし生けるものは、やがて死に土に還っていくことを理解した様です。
今、次男は 毎日 小学校へ行く前に骨壷の入った銀色の袋を撫でながら 「シャドー、行ってくるよ!」 と言って登校し、家に戻ると 「シャドー ただいま」 と言いながら袋を撫でています。
まあ長くは続かないとは思いますが、死というものを次男なりに理解できたのは、シャドーのおかげだと思っています。
一昨年の夏、三兄弟集合写真
昨日、家内が少し涙ぐみながら 「シャドーは、映画のシャドゥ以上に、シャドゥらしく生きて、そして死んでいったね!」 と私に言いました。
「こんな犬に育ってくれたら・・・」 「愛犬と暮らすことを子供が喜んでくれたら・・・」
そんな願いを込めて名づけたシャドーは、立派にその役割を果たしてくれました。
シャドー ・・・・ ありがとう!
君はシャドゥに勝るとも劣らない、我が家の名犬です。
妻は、「新築 間もない家であること」、そして「長男が未だ幼稚園にも入っていない年齢であること」を理由に、当初は、反対をしていました。
「犬と暮らすこと自体」を反対したのではなく、「せめてあと3年ほど待って、長男が小学校に入学してから・・・」と言うのが家内の言い分だったのですが、犬と暮らしたいと気持ち一心の私は家内の言い分に耳を貸しませんでした。
ですから、犬を主人公とした作品も夫婦で楽しく観たというよりは、私に無理矢理、付き合わされた感じでしょうか・・・(苦笑)
一緒にビデオを見ることによって、あたかも犬と暮らすことを容認する様な形になるのは家内としては不本意だったのかもしれません。
犬と共に暮らすことを躊躇する家内を翻意させるためには 「子供と愛犬が共に暮らすことの素晴らしさ」 をテーマにした作品を見せることが大切。。。と考えた私は お笑い系の作品ではなく、子供と愛犬との絆をテーマとした作品を選んで、渋る家内と共に観賞しました。
そんな 「子供と愛犬の絆」 を描いた作品の一つが、ディズニー映画の 奇跡の旅 でした。
この物語のあらすじは、
母の再婚で、長男ピーター、長女ホープ、次男ジェイミーの兄弟は、新しい父親ボブと新しい家で暮らすことになりる。
三人はボブになかなかなじめない上、ボブの仕事の都合で引っ越す家は動物厳禁。三人は、それぞれかわいがっていた三匹、ゴールデン・レトリーバーのシャドウ、ヒマラヤンのサシー、アメリカン・ブルドッグのチャンスを、しぶしぶ農場に預けることに同意する。ところが、シャドウはいつまで待ってもピーターが姿を見せないのは、きっと危険な目にあっているに違いないと考え、チャンスとサシーを連れて、農場を飛び出してしまう。三匹はケンカしながらも、獲物をとって食料を得たり、巨大な熊から逃れたりしながら、互いに協力して飼い主のもとへと旅を続ける。(以上、ウォルト・ディズニー・スタジオジャパンHPより抜粋)
というものなのですが、子供たちを常に思いやり愛情を注ぐ老いたゴールデンレトリバー、シャドゥの姿に感動し、我が家に迎え入れる犬の名前をシャドーと決めました。
2001年10月7日、我が家に フラットコーテッドレトリバーのシャドー がやってきました。
そして翌10月8日、私は健康診断と混合ワクチン接種のため、シャドーを初めて動物病院へ連れて行きました。
受付の女性から、「お名前は?」と聞かれ、 「シャドーです!」 と答えた時の嬉しさを今でも覚えています。
自分の愛犬、待ちに待った愛犬の名前を人に告げる嬉しさ・・・
ところが、我が家に来たシャドーは、映画のシャドゥとは大違い・・・
そりゃそうですよね! ヤンチャな小僧に、人生の酸いも甘いも経験した老犬と同じ役割を期待しても、無理というものです。
その頃、私は会社員でしたので、朝早く東京まで出勤し、夜遅くまで家には戻ってこない訳です。
その間、家の中は家内と長男とシャドーだけ・・・(次男は、まだ生まれていませんでした)
シャドーは家内を本当の母親の様に慕って、そして甘えていました。
そんなシャドーにとって、長男は最大のライバルに思えていたと思います。
自分はサークルの中に入れられているのに、長男は ママと一緒に、ブロックで遊んだりプラレール(電車の玩具)で遊んだり、ママの膝で本を読んでもらったり・・・
長男との遊びが一段落したり、長男がお昼寝をしていると、サークルから出して遊んでもらえるのですが(引張りっこ などを中心に、家内はシャドーと随分、遊んでくれました) シャドーは長男が妬ましくて仕方がない・・・
家内も犬との生活に不慣れでしたので、長男と遊んでいたブロックや絵本などを出したまま、シャドーをサークルから出してしまったりしたのですが、そうするとシャドーは、ライバルが遊んでいた玩具や絵本を、まるで敵(かたき)の様に破壊するのです。(苦笑)
ある日、事件が起きました。
長男と家内が、プラレールで遊んでいた時、シャドーはサークルを飛び越え、プラレール(1.5m四方位の大きな玩具でした)に乱入し、線路を噛み砕いてしまったのです。
線路が壊れてしまったら、もう電車を動かすことは出来ませんね。
さすがに長男が怒ってシャドーを叩いたのですが、 「待っていました!」 とばかりに シャドーは長男に体当たりし、吹っ飛んだ長男は椅子の角に頭をぶっつけ、出血・・・
頭を怪我すると、驚くほど血が一杯でるんですよね!
まあシャドーにすれば、「ヨシト(長男の名前)が先にボクを叩いたじゃないか!!」 と言い分はあったと思いますが・・・
その晩、帰宅した私は家内に、かなり叱られました。
「だから犬を飼うのは早いって言ったのよ! シャドーなんか馬鹿犬で映画のシャドゥとゼンゼン、違うじゃない!」 と・・・
その点、その翌年に生まれた次男は、あまりシャドーの被害には遭っていないんです。
次男が生まれた時、シャドーはまだ1歳3ヶ月ほどだったのですが、既に往年のヤンチャさは、少し薄れていて、次男を嘗め回したりすることはあっても、吹っ飛ばされたり、玩具を壊されたりした経験はありません。
やはり、良くも悪くも シャドーにとっては長男が永遠のライバル だったのだと思います。
それから数年・・・
公園で、長男が友達とカードゲームをしていて、そのカードを上級生に脅かされて盗られそうになった時、長男と一緒に公園に来ていたシャドーが、その上級生に吠え掛かってカードを盗まれずに済んだこともありました。
次男は、保育園の 「生き物とふれあうイベント」 にシャドーと共に登園し、シャドーの大きさに怖がる他の保育園児を尻目に、得意そうにシャドーを撫で回していたそうです。
2010年12月1日、 シャドーが逝った日・・・
かつて幼き日、シャドーに吹っ飛ばされて頭を縫った長男は、泣きながら自転車で駅前のジャスコへ手向けの花を買いに行き、レジでも泣き顔のままだった様で、レジの女性から 「ちょっと あなた大丈夫?」 と聞かれたそうです。
ジャスコの店内でも、ずっと泣いていたみたいで・・・
そして、長男は今 「自分が大人になったら、シャドーみたいな犬と暮らしたい」 と口にする様になりました。
3年前、私の実母が逝去した時は、幼かったこともあり、「死」というものが、よく理解できなかった次男・・・
一緒に、火葬場で拾骨したにもかかわらず、「おばあちゃんは、今度 いつ家に来るの。。。?」 なんて言っていました。
その次男が、シャドーの死を通し、生きとし生けるものは、やがて死に土に還っていくことを理解した様です。
今、次男は 毎日 小学校へ行く前に骨壷の入った銀色の袋を撫でながら 「シャドー、行ってくるよ!」 と言って登校し、家に戻ると 「シャドー ただいま」 と言いながら袋を撫でています。
まあ長くは続かないとは思いますが、死というものを次男なりに理解できたのは、シャドーのおかげだと思っています。
一昨年の夏、三兄弟集合写真
昨日、家内が少し涙ぐみながら 「シャドーは、映画のシャドゥ以上に、シャドゥらしく生きて、そして死んでいったね!」 と私に言いました。
「こんな犬に育ってくれたら・・・」 「愛犬と暮らすことを子供が喜んでくれたら・・・」
そんな願いを込めて名づけたシャドーは、立派にその役割を果たしてくれました。
シャドー ・・・・ ありがとう!
君はシャドゥに勝るとも劣らない、我が家の名犬です。
#
by gundogclub
| 2010-12-06 12:11
| シャドー (FCR)