フランスの大型スパニエル
「スパニエル」とは、「スペインの犬」という意味ですので、元々の発祥はスペインだったと思われますが、現在スペインには、スバニエルの名を冠する犬種は残っておりません。
しかし、スペインの北に位置するフランスには、様々なスパニエル(各地方ごとの、ローカルスパニエルも含め)が存在します。
スパニエルの名を冠する犬種は、ドイツ(ジャーマン・スパニエルなど)、またイギリスにも多くの犬種が存在します。
イギリスに関して言えば、イングリッシュ・コッカースパニエル、ワーキング・コッカースパニエル、イングリッシュ・スプリンガースパニエル、ウエルシュ・スプリンガースパニエル、ランドスパニエル、フィールドスパニエル・・・等々 多くのスパニエルが存在しますが、イギリスのスパニエルの特徴は 『大型のスパニエル(平均体重20kgを超えるスパニエル)が、存在しない』 ことと言えるのではないかと思います。(私の個人的見解ですが)
要は、イギリスにおいては 「大型のスパニエルを作出する必要がなかった」 とも言えますし、より端的に申せば 「イギリスでは同一犬種に、多目的の用途を求めなかった」 と、言えるのだと思います。
我が家のソロモン(ワーキングコッカー・スパニエル)は、イギリスのスパニエルとしては鳥猟に関し多目的に使用されている犬種だとは思います。

しかし、草むらに潜んでいる鳥を探し出し(Hunt)、潜んでいる鳥を飛び立たせ、撃ち落とされた鳥を回収する(Retrieve)をすることは出来ますが、「鳥が潜んでいる草むらを飼い主に指し示す(Point)」は、行いません。
イギリスには、「ポイントを専門職とする」ポインターやセッターがおりますので、スパニエルにポイント作業を兼業させる必要が無かった・・・ということでしょう。
ところで、 【Hunt・Point・Retrieve】 の三つの作業を それぞれ別個の犬種に当たらせる・・・という鳥猟の様式は欧州においてもイギリス固有のものであり、大陸側の欧州諸国では 【Hunt・Point・Retrieve】の作業を、すべて一つの犬種に行わせる = HPR Dog(多目的ガンドッグ)のが、普通です。
その為には、草むらに潜む鳥を探し出し、潜んでいる場所を飼い主に指示し、かつ撃ち落とされた鳥が大型鳥であったとしても、これを咥えて回収できる大きさ が求められる訳で、必然的に小型~中型ではなく、大型のHPR Dog(多目的ガンドッグ)が必要となります。
・・・と、長々と前置きを書いたうえで やっと本日の本題である 「フランスの大型スパニエル」 の話です。
フランスには、フレンチ・スパニエル、ブリタニー・スパニエルなどのメジャーなスパニエル(どちらかと言えば、この二種は中型犬に近い)もおりますが、本日はローカルな大型スパニエルの話をします。
ピカルディー・スパニエル、 ブルー・ピカルディー・スパニエル、 ポン・オードメル・スパニエル などの名前を聞いたことが、ございますでしょうか?
ピカルディー・スパニエル

ブルー・ピカルディー・スパニエル

ポン・オードメル・スパニエル

ピカルディースパニエルはビカルディー地方で作出されたHPR、ポン・オードメル・スパニエルはポン・オードメル地方で作出されたHPRであり、私はこれらの犬種のfacebookのファンクラブサイトと交流があるのですが、ポインティング練習などと並行して、ダミーを用いたレトリーブ練習なども、しっかり行われています。
まあ、これらの犬種と暮らすことは、一生無いと思われますが 同じフランス国内であっても、各地域ごとに、優秀なHPR Dogを作出しようとした「意気込み」を感じます。
回収だけに特化するなら、英国からレトリバー種を輸入した方が優秀で、使い勝手も良いのかもしれませんが、それでも尚 さまざまな地域で、「優秀なHPR Dogを生み出そう」 としたその情熱に尊敬を覚えます。
「1頭で鳥猟に必要な猟芸の全てをカバーさせる」という思想のもとに作出された犬種というのは、一つの一つの能力では、「専門職」である英ポインターや英セッター、またレトリバーと比較すると能力は、やや劣るのかもしれません。
それでも、私は自らは鳥猟をせず・・・つまりは、Huntの部分とpointの部分の能力を有する犬種を、必要としないにも関わらず、HPR Dog が好きです。
最愛のフラウの出自であるドイツのHPR Dogに限らず、一生共に暮らす可能性の無い日本には輸入されたことすらないHPR Dogも含め、それぞれの国、地域が愛情と誇りをもって生み、育てたHPR Dogに、愛しい気持ちを禁じえません。
私の 「HPR Dogに対する尊敬の念」や、 「HPR Dogに対する興味や学ぶ気持ち」 を育んでくれたのは、最愛のフラウに他なりません。


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by gundogclub
| 2016-07-24 21:17
| 犬種探訪