遊びをせんとて
最近、私のドッグスクールに入校した、とある生徒さん。
他のトレーナーさんの処からの転校組です。
転校した経緯に関しては、詳細は省きますが「トレーニングの過程で見るに堪えない部分があった」とのことで、虐待めいた事例も多かったようです。
「悲鳴をあげて、泣き叫ぶ姿をもう、見たくなかった」という飼い主さんの言葉が、全てを物語っているかも。
「飼い主は指示する側、犬は飼い主の指示に従う側」ということを、繰り返し教えられたそうです。
それぞれのトレーナーには 『どのような犬を理想とするか?』 とか 『理想とする 犬との暮らしとは?』 という目標やビジョンがあると思いますので、少なくとも このトレーナーさんと私とでは「どのような犬を理想とするか?」に大きな隔たりがあるのだと思います。
私は、我が家の犬たちに関して言えば、女の子は恋人(カノジョ)、男の子は息子という感覚です。
例えば、カノジョとデートをしたとして
カレシ 『今日は、どこに行きたい? 俺、見たい映画があるんだけれど!』
カノジョ 『アナタが行きたい処へ行ってください』
カレシ 『お昼は、俺 トンカツ食べたいから!』
カノジョ 『はい わかりました』
カレシ 『今度の日曜日、俺 誕生日なんだけれど! 何かプレゼントくれよ!』
カノジョ 『わかりました。欲しい物を仰ってください。私にはアナタの欲しいものは判りませんので・・・』
何も自己主張せず、自分の希望や主張を一方的に聞いてくれるだけのカノジョと一緒にいて、私には楽しいとは思えません。(まあ、楽しいと感じる男性も、いるかもしれませんが・・・)
その点、もしフラウがカノジョなら 『え~ ワタシ今日は映画、見たくないわぁ。ワタシ、水族館に行きたい!』 とか 『お昼、トンカツなんて嫌よ! ワタシ、ピザが食べたい! アナタ、ピザは嫌なの?』 とか、自己主張をしたり、我儘を言ったりしそうです。
その代わり、フラウは 私がちょっと落ち込んでいたりしたら、素早く感じ取って、殊更 明るく振舞ってくれたり、元気づけてくれたり・・・
誕生日だって、こちらから欲しい物を口にしなくても、ちゃーんとカレシが欲しがっている物は知っています。
カレシ・カノジョのことを 「恋人同士」 と言いますが、「同士」である為には、まずは「お互いが相手の事が好き」 である必要があります。
どちらか一方だけが相手のことを好きなのは、単なる片思いです。
そして、恋人同士は 「お互いに、一緒にいて楽しい」 でなくては、長続きしません。
カレシの方はカノジョと一緒にいると楽しいけれど、カノジョの方はカレシと一緒にいても、あまり楽しくない・・・という関係なら、その関係は遅かれ早かれ瓦解します。
まあ、“カレシの持っているお金が好き!”とかなら、打算づくで関係が続く場合もあると思いますが。
また、「一緒にいて楽しい」を堪能する手段の一つが 「一緒に遊ぶ」 ことだと思うのです。
海や山に行く、ショッピングに行く、映画を見に行く、ディズニーランドに行く・・・2人で家に籠ってゲームをすることも含め 「一緒に遊ぶ」という行為は、恋人同士を続けるうえで(あるいは夫婦の間でも)、エッセンスとしてとても大切なのではないかと思うのです。
そして、私にとっては そして私のスクールの生徒さんにも同様にお伝えしていますが、『お互いに、相手の事が好き』 『お互い、一緒にいて楽しい』 『一緒に遊ぶ』 と言うことが、愛犬との暮らしにおいても、一番大切なのだと思うのです。
そもそも、「犬と一緒に遊ぶ」と言うより 「犬に一緒に遊んでもらう」という方が正確かもしれません。
私は、毎日のように我が家の犬たちと野原へ行きますが、もし一人で野原を歩いていてたら20分も歩けば飽きて退屈してしまいます。 それが1時間なり1時間半なりを野原で退屈せずに過ごせるのは、フラウやクワン、エステルにソロモンが私一緒に野原で遊んでくれるから。
フリスビーの練習だって、そりゃ愛犬を伴わずに黙々と「投げ練習」をすることもありますが、それも「愛犬と一緒に競技会に出よう!」と思えばこそです。愛犬とフリスビーの競技会に出場しないのなら修行僧じゃあるまいし、黙々とフリスビーを投げ続けるなんて、苦行でしかありません。
そして、つらつらと考えますに、 犬ほど何の打算も無く、ニンゲンと遊んでくれる相手はいない と思うのです。
髪の薄くなった小太りの初老のオヤジと楽しそうに遊んでくれる、我が家の愛犬たち。
お金が、ふんだんにあったら、若いニンゲンの女の子も打算づくで私と遊んでくれるかもしれませんが、実際には私には鼻も、ひっかけてくれません。
こうして考えると 『犬は、飼い主と遊ぶ(遊んでくれる)ために、ある』と思うのです。
born to play! ・・・ 遊びをせんとて生まれけり
勿論、楽しく安全に遊べるための練習は必要ですが、それもこれも楽しく遊ぶため!
そして、これは私だけの考えではなくアジリティー競技会のシニアクラスで日本一になったトレーナーさんも、またアジリティー競技会の日本代表としてイタリアで戦ったトレーナーさんも、口を一つにして仰います。
「全ては、楽しく遊ぶため」「犬との生活は全て遊び」と・・・
冒頭にも書きましたが、『どのような犬を理想とするか?』によっても、考え方やトレーニングの手法は異なるのだとは思います。
しかし、私は例え自分の意に沿わなかったからと言って、自分の大切な恋人を、叩いたり虐待したりすることはできませんし、自らの要求だけを恋人に一方的に押し付けることもできません。
だって、そんなの 恋人同士 じゃ、ありませんから!
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by gundogclub
| 2014-11-22 14:41
| 犬の躾・訓練